緊急避妊薬の適正販売に係る環境整備のための調査事業
(厚生労働省医薬局医薬品審査管理課委託事業)
緊急避妊薬とは、妊娠の心配がある性交から72時間以内に服用することで、避妊効果を得る薬です。主に排卵を遅らせることにより妊娠する可能性を低くします。効果(妊娠阻止率)は約8割です。
レボノルゲストレル錠(1.5mg)は、国の承認を受けた医療用医薬品であり、医療においてすでに広く使用されています。
販売価格は概ね7,000円~9,000円の範囲です。
現在、日本では、薬局で処方箋なしに緊急避妊薬を販売することは認められていません。
その一方、国(厚生労働省)では、予期せぬ妊娠の可能性が生じた女性が処方箋なしに緊急避妊薬を適切に利用できる仕組みを検討するために、薬局での販売方法などについて情報を集めるための調査研究を行うこととしました。よって、この調査研究に参加する、一定の条件を満たす一部の薬局においてのみ、販売が可能とされています。
緊急避妊薬を購入する際、妊娠検査薬で妊娠の可能性を確認いただく場合があります。その場合は、妊娠検査薬の購入費用が必要となります(1,000~1,500円程度)。
なお、薬局で緊急避妊薬が販売できない場合に産婦人科を受診される場合や、緊急避妊薬を服用した後に産婦人科を受診する場合(妊娠していないことを確認するためなど)には、産婦人科の受診にかかる費用が必要となります。
また、薬局等への移動に係る費用も、購入者ご自身の負担となります。
購入者本人の身分証明書(※)が必要です。購入者が16~17歳の場合は、保護者等の身分証明書と、薬局への同伴が必要です。
このほか、前回の生理日や、妊娠が心配な性交の日時等を聞き取った上での販売となりますので、予め情報を確認しておくようにしてください。
薬局での緊急避妊薬の販売は、調査研究の一環として行われています。
一般の医療とは異なり、研究として医療サービスを提供するためには、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針を遵守することが求められます。この調査研究においても倫理指針を遵守し、対象者の意思に反して強制的に研究に参加させることのないように、対象者の自由意思が尊重されます。自由意思で参加することを確認するために、同意の取得が必要になります。
また、この同意はご本人の意思で撤回ができます(研究参加の手順「ステップ1」参照。)
また、この研究は、薬局での販売方法などについて情報を集めることを目的としているため、緊急避妊薬を販売する薬局で購入する方、調剤を受ける方には、アンケートへの協力をお願いしています。
こうしたことから、研究への参加に同意いただける、服用される方本人のみを販売の対象としています。
薬局での緊急避妊薬の販売は、調査研究の一環として行われています。
本調査研究は、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針を遵守して実施しています。
当該指針では、対象者が未成年の場合には、保護者等の同意が必要とされています。購入を希望する方は、調査研究の対象となるため、本人及び保護者等の同意が必要となります。
上記のように、本調査研究は、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針を遵守して実施します。
同指針では、研究対象者の研究参加に対する意思表示が有効とされる年齢の基準が16歳以上とされています。
また、現在、日本では、性交同意年齢は16歳とされており、16歳未満の者に対して性交をすると、「不同意性交等罪」という犯罪となります。(13歳以上16歳未満の場合は、行為者が5歳以上年長の場合。)16歳未満の方に対しては、調査研究としてではなく、現在わが国でなされている対応がとられるべきことからも、本調査研究の対象とはしていません。
≫ 「薬局から産婦人科や相談機関などに紹介されることがあると聞きました。本人の了承なく情報共有されるのですか。」もご参照ください。
緊急避妊薬(レボノルゲストレル錠(1.5mg))の購入を希望される方が、当該医薬品が国の承認を受けた際の条件に合わない場合は医薬品の使用ができないため、販売しません。
<使用できない場合>
●妊娠が心配な性交から服用までの時間が72時間を超える方
●既に妊娠している方
●身体の状態によって緊急避妊薬が使用できない方(重篤な肝障害がある等。)
質問等により薬剤師が判断します。
この調査研究で販売の対象外となる場合や、研究への参加を望まれない場合は、医療機関(産婦人科など)での対面診療またはオンライン診療による緊急避妊をご検討ください。
緊急避妊薬は性交から72時間以内に服用することで効果が得られます。72時間以内であるかどうかや、妊娠の可能性がないか、医薬品が使用できないケース(禁忌)に該当しないか、性感染症への不安がないか等を薬剤師が確認した上で販売し、適切な服薬指導等を行うためです。
なお、この調査研究では、一定の研修を修了している薬剤師が、購入者のプライバシーに配慮して対応いたします。
薬局で聞き取った情報は、個人を特定できない形(氏名等を数字などに置き換え)で、研究に必要な情報のみ、日本薬剤師会に設置した研究班に報告されます。また、研究班が報告書等で公表するものは集計値であり、個人を特定しうる情報は含まれません。
確実にご本人が服用されることが確認できるよう、薬剤師が服用を確認できる状態で服用いただくこととしています。
なお、オンライン診療を受けて薬局で調剤を受ける場合も同様に、薬剤師の面前で服用することが定められています。
緊急避妊薬を服用しても完全に妊娠を回避できるわけではなく、効果(妊娠を回避できたか)は服用後すぐにはわかりません。そのため、服用から3週間後に、市販の妊娠検査薬または産婦人科医の受診により妊娠の有無を確認していただく必要があります。
また、薬局で緊急避妊薬を販売できないと判断された方、性感染症のリスクや異所性妊娠(子宮外妊娠)などのリスクがある場合などにも、産婦人科の受診をお勧めします。
本研究事業にご協力いただいている連携産婦人科をご紹介します。
もちろん、かかりつけの産婦人科や、ご本人が受診したい産婦人科がある場合には、この限りではありません。
ご本人の了解なく、購入者の情報を他へ報告することはありません。なお、購入者の状況に応じて、ご本人の了解を得た上で、以下の対応を行なうことがあります。
【産婦人科をご紹介する場合】
産婦人科をご紹介する場合に、産婦人科の連絡先や紹介状を購入者にお渡しいたします。紹介状には購入者から薬剤師が聞き取った内容なども記載しますが、購入者本人から産婦人科医にお渡しいただくものであり、薬局から産婦人科に購入者情報をお渡しすることはありません。なお、ご本人のご了解が得られる場合には、円滑な受診のために、予め産婦人科医に購入者の情報を連絡するなどの対応を行なう場合もあります。
【性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターをご紹介する場合】
各都道府県に、性犯罪・性暴力に関する相談窓口として、「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」が設置されています。
同センターは、性犯罪・性暴力被害者に対し、被害直後から
●医師による心身の治療
●相談・カウンセリング等の心理的支援
●捜査関連の支援
●法的支援
などの総合的な支援を可能な限り一か所で提供することにより、被害者の心身の負担を軽減し、その健康の回復を図るとともに、被害の潜在化を防止すること等を目的として設置されたものです。
犯罪が疑われる場合などには、ワンストップ支援センターの連絡先を紹介し、ご本人の了解が得られる場合には、円滑な相談のために、予めワンストップ支援センターに購入者の情報を連絡するなどの対応を行なう場合もあります。